室内の化学物質による空気汚染とその対策

<化学物質過敏症、アレルギー中毒など様々な疾患を引き起こす化学物質汚染>
毎日の暮らしの中で私たちが接する化学物質は7万種類にものぼると言
われています。 それに接着剤や塗料を多用した新建材の室内空間が加
わり、健康障害の危険性はますます高くなってていると見られますが、
ここで心配なのが非常に微量の化学物質にも敏感に反応してしまう化学
物質過敏症の広がりです。
化学物質による疾患には、その他に中毒やアレルギーがありますが、中
毒が比率で1000分の1単位の有害物質で体に異常があらわれるのに
比べて、アレルギーはそれより低い100万分の1単位、化学物質過敏症
は更に低い10億分の1単位でも発症すると言われています。
原因はどれも同じですが、超微量の化学物質で引き起こされる過敏症は
更に対応が困難、体に異常反応を起こすほど一度に多量の有害物質を
い込んだ場合や、体に蓄積した有害物質がある一定量を超えた場合に
症すると言われ、その後は極めて少ない量にも敏感に反応し、体調を
えるようになります。
不定愁訴と言われる症状が多くハウスシックイ症候群に近い症状を示す
言う特徴があります。
<ホルムアルデヒドなどの有害物質の汚染>
新築住宅の入居時や、住まのリフォーム後に頭痛がしたり、見がチカチ
カして涙が出るのは、建材や料などから揮発した化学物質が原因でした
因でした。特に健康障害が数多く報告されているホルムアルデヒドは、合板
フローリングや家具の接着剤に含まれ、又ビニールクロスを柔らかくする為
の可塑剤、カーペットやニスの仕上剤などには揮発性有機化合物が含まれ
ています。
1996年に名古屋で開発された国際室内空気質会議で、オーストラリアの
ギャレット博士から室内のホルムアルデヒド濃度が高くなるに従喘息にか
かる子供の割合が増えていくという調査報告がなされました。
特に40PPDを超える家族では、43%もの子供が喘息と診断され、さらに
アトピーの症状も数多く見られたというから驚きです。
ホルムアルデヒドは、呼吸器やアレルギー疾患の原因となると共に、動物
実験によると長い期間多量に吸い込み続けると、発ガンの危険性も指摘
されており、建材に含まれる有害物質の中で特に問題の大きいものの1つ
です。 
<目に見えない汚染の恐怖>
新築住宅ほど揮発濃度は高レベル、建材には様々な化学物質が含まれて
いますが、特に健康への影響が大きいとされるのが、ホルムアルデヒド、ト
ルエン、キシレン、材保存剤、可塑剤、シロアリ駆除剤などです。
まずホルムアルデヒドは、住宅新建材の中に幅広く使われており、一定濃
度を超えると、目や鼻や喉を刺激したり、咳きこむ場合もあります。
1980年にアメリカの労働衛生安全研究所と、産業安全局が、ホルムアル
デヒドを発ガン物質として扱うべきとの勧告を出すなど、その有害性が問題
となっています。トルエンとキシレンは数多くの種類があるVOC(揮発性
機化合物)の中で代表的なものであり、主に塗料や接着剤の溶剤に含まれ
ています。多量に吸い込むと中枢神経に作用し、頭痛やめまい、吐き気な
を起こす恐れがあります。木材保存剤とシロアリ駆除剤は、住まいを腐
害虫から守り耐久性を高める為に使われる薬剤ですが、特に有機リン系の
ものは毒性が強く、施工業者への被害も心配されています。
ビニールクロスの原料となるポリ塩化ビニールの軟化用に使う可塑剤には
フタル酸化合物を含んだものが多く、残留性が高いことから使用していると
揮散する可能性があります。
木材保存剤、シロアリ駆除剤、可塑剤については、全てのものが有害である
と確認されたわけではありませんが、安全性に問題がある物質を多く含んだ
ものがあり、薬剤選定と施工法に充分な配慮が求められると思います。
汚染から守りクリーンな室内環境を作る空気汚染対策
汚染物質の排除法としてまず誰でも手軽に行える通風換気は、室内にたま
った化学物質を除去するのにとっても有効な方法は、窓やドアを全部開放し
て風が通るようにすると換気効率を上げる。又押入や食器棚など空気がよ
どむ場所には、汚染物質が残りがちなので、扉をあけて中の空気を動かす
事も忘れず行う。
2つ目のべークアウトは、温度が上がると揮発量が増えるという化学物質の
特性を利用して、エアコンで室内の温度を上げ、時々換気を行いながら、強
制的に化学物質を追い出してしまう方法。これは塗料などに含まれる揮発
性有機化合物、合板のホルムアルデヒドには効果があるが、ビニールクロ
スの可塑剤の各分となっている化学物質まで退治するのは難しい。
3つ目は、発生源となっている建材を取替えて、汚染の発生源を元から断つ
方法。
人の健康、地球の環境にやさしい天然素材を使ったクリーンな室内天然木
材は、空気汚染治療の名医なのです。昔の日本の住まいには、天然材料を
活かして、障子、畳、高い床下、土の塗壁など優れた調湿と自然換気の機
能を備えていました。人間はもともと自然の生き物です。
住空間の中でも自然の安らぎを求めており、その役を果たしてきたのが木と
いう素材なのです。木が放つ良い香りの中には、心を落ち着かせる効果や
殺菌効果があり、又生きた素材ならではの調湿作用により、心地良い室内
空間を作ってくれます。適材適所という言葉のとおり、土台には腐れに強い
木、柱には圧縮強度がある木、梁には曲げ強度がある木というように樹種
の特性に合わせた材料活用の知恵が日本の建築の中にあったのです。
床については、最も良いのが天然の木材であり、健康に良い作用がある
かりでなく、床下や基礎コンクリートの湿気までも吸収してくれます。
さらに室内を構成する壁の仕上剤に珪藻土を使う事によって、調湿作用消
臭作用空気の浄化作用があります。
これは珪藻土が超多孔質構造で瞬時に良く水を吸う。
吸水量は桧の約2倍もあります。
然素材、珪藻土を活用するならば健康面への効果ははかりしれないもの
があります。又、ヒバや桧のように土台の基礎材として高い防腐防蟻効果を
発揮する木材もあり、心材を使えば薬剤処理は必ずしも必要でないと住宅
金融公庫仕様書にもうたわれています。こんなメリットを考えると、これからの
住宅造りの中で天然素材と珪藻土の活用範囲とその果たす役割がとても大
きい事がわかります。森の自然が育んだ木材をはじめ和紙土い草など昔なが
らの自然材料を未来へさらに活用していけたら素晴らしいです。
これらの住まい造りを考える場合、新建材類の使用はどうしても避けて通る
事が出来ません。その場合、ホルムアルデヒドなど放散しない建材(集成材)
または放散量の少ない建材(JASのF1合板など)を選ぶ事がまず大事です。
JASでは普通合板と化粧合板においてはホルムアルデヒド放散量に合わせ
てF1〜F3まで3つの区分を設けています
集成材の接着は水性高文子イソシアネート系接着剤(白)を使用しています。
イソシアネート系は、常温硬化型の接着剤でホルムアルデヒドは含んでいま
せん。集成材の接着でレゾルシノ−ル接着剤は硬化剤にパラホルムアルデヒ
ドを加えますので、集成材を選ぶ時は注意が必要です。
これからは、住まう人自らが建築士や専門家の人達と一緒になって、適切な
材料選択や通風、換気計画などにより汚染化学物質を排除しやすい間取りを
考えていくことが住環境改善を進める上でとても大切な事です。

                          一級建築士
                         吉  田  光  男

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